ALPACA実験

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ALPACAについて

ALPACA実験は日本とボリビアの共同研究として2016年に始まった 新しい宇宙線観測のプロジェクトです。 南半球で初めて超高エネルギー宇宙ガンマ線 を世界最高感度で広視野連続観測することを主目的とする計画です。

「銀河系内のどの天体が宇宙線を1015電子ボルト以上のエネルギーにまで 加速しているのか?」 宇宙線の発見以来100年以上続くこの謎を解明するため、我々は1013から 1015電子ボルトの宇宙ガンマ線を南天で広視野連続観測する計画を進めています。 南米ボリビア・ラパス近郊チャカルタヤ山の中腹標高4,740 mの場所に、 83,000 m2の地表空気シャワー観測装置と5,400 m2 の地下ミューオン観測装置を建設する予定です。 ふたつの観測装置を連動させることで、ミューオン数の少ない空気シャワー、 すなわち元がガンマ線の可能性が高い空気シャワーを選別し、ガンマ線に対する感度を向上させます。 プロジェクト名は、南米に生息するアルパカにちなんで ALPACA (Andes Large-area PArticle detector for Cosmic-ray physics and Astronomy) といいます。

南半球で観測する大きな利点は、銀河系の中心方向が視野に入ることです。 近年、銀河系中心方向の拡がった領域で宇宙線が超高エネルギーに加速されている可能性が 示唆されています。この領域で加速された宇宙線が周辺のガスにぶつかって生成される 超高エネルギーガンマ線を検出すれば、 宇宙線の起源の解明に大きな進展をもたらすことになります。 他にも、宇宙線加速源として有望な超新星残骸を含め、 数多くの天体について観測することができます。

さらに、さまざまな宇宙線に関する研究を行うことができます。 Knee付近の宇宙線のエネルギー分布を原子核の種類ごとに測定し、 先に述べた超高エネルギーガンマ線観測とともに、宇宙線の起源の解明を目指します。 宇宙線到来方向の非一様性を南天で測定し、 北天で得られているデータと合わせて解析することで、 太陽系近傍の宇宙線の「流れ」について新たな知見が得られるでしょう。 太陽コロナ磁場については、 赤道に近い立地を生かして多くのデータ量が見込まれ、より詳細な研究が期待されます。

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